女性は50歳ごろに閉経を迎えます。閉経前後からデリケートゾーン(陰部)を中心としたさまざまな症状が出現してくる状態を閉経関連尿路性器症候群（GSM）と呼ばれます。GSMは2014年にアメリカの閉経に関する中心的な学会が提唱し始めた、比較的新しい概念の病気です。

原因

GSMに関する不快な症状は、外陰部の粘膜が弱くなることで起きていると考えられます。
閉経前後には女性ホルモン（エストロゲン）が低下していきます。外陰部の粘膜は、エストロゲンによって成長しているためエストロゲンの分泌が少なくなると、外陰部の粘膜が弱くなり、以下のような不快な症状が起きてしまうのです。

症状

GSMの主な症状は以下の3つです。

膣症状

膣のにおい、膣が乾燥する、オリモノが減ってくる、陰部を触ると痛む、陰部がイガイガする

性機能症状

セックスで挿入が痛くなった、濡れにくくなった、クリトリスの刺激が痛くなった

排尿症状

いつも尿がしたいようなムズムズがある、膀胱炎を繰り返すようになった、排尿した時にしみる、排尿後も残尿感がある

これらの症状は、例え困ることがあっても他人には言いづらく、一人で症状に悩んでしまうことが多いです。しかし、GSMに関する症状は放置しても改善することはありません。GSMの症状が疑われる場合は、お気軽にご相談ください。

治療方法

性ホルモンの低下によって薄くなってしまった粘膜の治療を行います。
治療の基本は保湿です。粘膜が衰えている状態にもかかわらず、洗浄しすぎることで症状を悪化させる人が多くいます。高圧や高温のシャワーで洗浄したり、トイレのたびにウォシュレットを使用したりすることは、GSMに悪影響です。女性ホルモンの配合されたデリケートゾーン専用のケア用品を使用するようにしましょう。また、GSMで起きている痒みに対して、ステロイドの塗り薬を使用している人も見受けられますが、ステロイドは粘膜・皮膚を薄くする作用があるため、GSMにとってステロイド薬を塗ることは、症状を悪化させてしまいます。一時的に改善したと思っても、薬を中止するとさらに悪化した状態になっています。使用には十分注意しましょう。
洗いすぎに気をつけ、保湿を行っても改善がないときには、医学的な治療としてホルモン剤や機器を用いた治療を行います。
ホルモン剤は、外陰・膣に直接行う方法が効果的とされています。更年期に関する全身症状もある場合には貼り薬や飲み薬を使用することもあります。
機器を用いた治療は、CO2レーザーを使用したもの、Yagレーザーを使用したもの、RF（高周波）を使用したもの、超音波を使用したものなどがありますが、当院ではやけど等のリスクが少ない超音波による治療（腟ハイフ）を行っております。